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Interview

IT Project Manager

ブロックチェーンが実現した、 リアルとECを貫く ブランドメッセージの統一。

profile:

Maria An

IT Project Manager

IT本部

  • 経歴
    2011年〜2019年:大手インターネット総合サービス事業会社
    2019年〜2021年:株式会社資生堂
    2021年〜:資生堂インタラクティブビューティー株式会社
  • 経験・スキル
    • データドリブンマーケティング、新規ビジネス立ち上げ、ITプロジェクトマネージメント
  • 志望動機
    資生堂傘下のさまざまなプレステージブランドの世界観と独自のユーザコミュニケーションを重視したグローバル戦略の元で、ユーザビリティーを第一に考えたECサービスづくりに関わりたいと思いました。また、数々の苦難を乗り越えながらも150年もの歴史を築いてきた資生堂という企業そのものに対して興味があり、転職当時V字回復を成し遂げていた組織の一員になりたいと思いました。
IT ProjectManager
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——ジョブとしてはプロジェクトマネージャーですが、コンサル的なポジションでもあるとか。

その通りです。プロジェクトマネージャーのロールを凄く限定的に捉えてしまえば「ベンダーマネージと決まった工程」をこなせばいいのかもしれませんが、それだけでは存在意義がありません。資生堂インタラクティブビューティーのプロジェクトマネージャーにとって、ブランドビジネスに社内コンサルの役割を果たすこともミッションの一つであると考えています。私は資生堂のプレステージブランドである「ザ・ギンザ」などのオウンドECのITサポートをしていますが、事業部側との日々のコミュニケーションの中で課題を抽出しながら、課題感の解像度を上げられるようコンサルティングの役割も果たしています。それから前職でのECマーケターとしての経験を活かし、より実務で使いやすいシステム導入につながるサポートを心がけています。また実際のEC運用においても、私の提案によってKPIレポートの仕組みが新たに根付くということもありました。

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——ブロックチェーン技術導入に携わったそうですね。

担当ブランドに対して、元マーケターとして感じていた課題のひとつに、オンラインとオフラインのオムニチャネルにおいて、お客さまへの一貫したコミュニケーションが行えていなかったことがありました。ブロックチェーンの導入によってオンライン・オフラインの購入情報や顧客のブランド接点のログが統合できれば、一人ひとりのお客さまに即した「テイラーメイドエクスペリエンス」をお届けするとともに、店頭とECを融合させた施策によってブランドとして一貫性のあるグローバルCRMを展開することも可能になります。業界初、ブロックチェーン技術をマーケティングテクノロジー(MarTech)として利用して、エンドユーザ一人ひとりとその手に取った商品を紐付けることで、最先端OMOを実現できるようになりました。
また、高価格帯ブランドらしい課題として、潜在顧客の偽物への警戒心がありました。特にメイン顧客層でもある中国のお客さまに顕著なその不安を払拭するために、改ざん耐性に優れたブロックチェーン上で承認発行される正規品証明書をオンラインで確認できるようにし、売上貢献にもつながっています。

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——導入において、資生堂の社風や環境はどう後押しになったのでしょう。

当初導入コストとしてはかなり高額だったのですが、先に挙げたような意義を関係者間で共有し、積極的に導入が進められたと感じています。当初はエッジ技術だからこその壁があり、そもそも社内に担当部署がなく、承認経路もはっきりしない状況でしたが、絶えずその意義を唄えることで、IT部門が一丸となってサポート体制を組み、フレキシブル且つスピーディーにこのプロジェクトを支援しました。取り組みは社内のアワードでも高く評価され、仕組みの横展のために「詳しく話を聞かせてほしい」と社内の各所からも声がかかるようになりました。ぜひ、他のプレステージブランドにも広がってほしいと思っています。

——次なる挑戦としては、どのようなことを考えていますか。

さまざまなテクノロジーを活用してマーケティングの効率化を追求したいですね。まだ構想段階ではありますが、データの統合によってその第一歩が実現できるのではないかと考えています。現状では、売上データや属性データ、トラフィックデータなどがバラバラに存在しています。これらをつなげてビッグデータ化すれば、セグメントや傾向の特徴量を新たに設けることが期待できます。その先にあるのは、一人ひとりのお客さまが本当に望むビューティー体験を手にすることができる「テイラーメイドエクスペリエンス」の実現です。資生堂のデジタル活用における大きなテーマである「テイラーメイドエクスペリエンス」を、ぜひ世界に届けていきたいですね。※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです。

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